【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

思っていた以上に大声を出してしまって、事務所に声が響く。
これじゃあ焦っているのバレバレじゃんか。

これ以上藤枝さんと話しをしていても自分が惨めになるだけだ。 
だから話を振り切って、事務所を急いで後にした。

モヤモヤとした気持ち。 事務所を出てもさっきまでの藤枝さんの態度が気になった。
下らない、馬鹿らしい。

仲が良さそうで結構。

…碧人さんは私には自ら藤枝さんの話をしてくれないけれど、藤枝さんには軽々しく私の話をしているんだ。

信頼関係が違うってわけ?

傷ついて悲しくって、どうしようもない程落ち込んだ気持ちになる。

碧人さんの事ばかり気になって、それ以外何も考えられない。 こうやって一人の男性に執着するのは初めての出来事だった。
< 199 / 258 >

この作品をシェア

pagetop