【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
「そうじゃなくって……marinに新しく来たボヤージュの本社の人が…碧人さんの元カノなんだって……
う…ヒック…ふぇ…
元カノって言ってたけど、やり直すかもしれないし
桃菜から見ても二人はお似合いで……う…ふぇえええん…苦しいよぉ……
碧人さんの側にいるの…苦しい…」
子供のような泣き声を上げる私を見て、真凛ちゃんはドン引きしていた。
しかしハッと顔を上げて、私に静かに訊ねた。
「それって……
桃菜、もしかして小早川さんの事が好きなの?」
そんな気持ち、ずっと認めたくなかった。 けれど誰かに指摘されて初めてダムが決壊したように涙がこぼれだした。
この人生において誰かを想い胸が苦しくなったのも、誰かを想い涙を流したのもこれが初めてだった。
真凛ちゃんの問いかけには、こくこくと頷くのが精いっぱいだった。
こんなにも碧人さんの事ばかりで、こんなにも大好きになってしまったなんて。