【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
真凛ちゃんの目は既にすわっていた。
真っ赤になった顔に、どこか呂律が上手に回っていない口調。
ビールで乾杯して、白ワインを開けるといつの間にかそれが空っぽになっていた。
真凛ちゃんは大学時代から飲み会でもお酒を余り飲まなかった。 本人はアレルギーがあるから、と言っていたけれどまさか酒乱?!
お酒が入っても穏やかだった真凛ちゃんが……
「ああ、桃菜来ていたのか。 つーか酒かよ…」
伊織さんはいつも通り無表情に私を見下ろし、ソファーに鞄を置いて着ていたシャツのボタンを緩める。
驚いたのは次の瞬間だ。
真凛ちゃんが突然立ち上がり、伊織さんの胸倉をがしりと掴んだ。
その反動で伊織さんがぐらりとふらついた。
「ひぇ…!真凛ちゃん、何やってんの?!」
「おい!今桃菜の事呼び捨てで呼んだだろう?!」