【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
それはどこか懐かしい光景で
ずっと欲しくて欲しくて堪らなくって探していたものだ。
悲しい時も辛くなっちゃう時も、どんな時でも見捨てずに居てくれて
温かいひだまりで包んでくれた。
あんなに欲しかった物、気が付けば手に入れていた。
視界がぼやけていくのは悲しかったからじゃない。
あなたの姿が少しずつ歪んで行っても、ずっと近くに居てくれた事が嬉しかった。
「桃菜っ……小早川家にずっといたい…」
そう言ったら、碧人さんは両手で私を抱きしめた。 苦しくなるほど、強く。
これは夢じゃないから、同じ速さで動く鼓動の中ゆっくりと目を閉じる。