【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

碧人さんは意外そうな顔をし、カレーを口いっぱいに頬張る。
口元にご飯粒がついていて、思わず頬が緩んでしまう。
外では絶対に見せないような無防備な姿だ。

「まあ…真白と朱莉はある程度大人な年齢だからね~~。それに元々の性格っつーのがあるし」

「藍は末っ子なせいか昔から人見知りが激しいんだ。 特に大人の女の人には慣れてないみたい。母親を五歳の時に亡くしているからな。
まあ、桃菜は年上の女性つーより精神年齢は藍達と同じ位だと思うけど」

「最後の一言が余計ね」

ぎろりと碧人さんを睨みつけると、不敵な笑みを浮かべる。 …かっこつけてても頬にご飯粒ついているけどね。

「桃菜嫌われちゃってるみたい。
話しかけてもあんまりお喋りもしてくれないし」

「嫌いではないと思うよ。戸惑ってるだけだと思う…」

「別に嫌われても全然いいんだけどね。 どーせ桃菜いつかこの家を出て行くんだから」

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