【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

碧人さんの嫌味も耳に届かない程、ウキウキした気分になってしまう。
お出掛けなんていつぶりだろう?!

最近は仕事も真面目にこなして、休日は主に小早川家の家事に追われていた。
だからただ単純にお出かけが嬉しかった。 碧人さんと一緒だからというわけでは断じてない。


―――――

「うわああい!!!動物園なんて何年ぶりだろう…!!
きゃー!楽しみぃ!」

今日は冬晴れ。 コートなんかいらないくらい温かい。
そんなお天気の良い日に碧人さんが連れて来てくれたのは、なんと動物園だった。
あからさまなデートスポットで、まさかこいつ私を狙っている?、と一瞬ヒヤヒヤしたが……

「やっぱり喜ぶと思ったよ。 藍も動物園に連れて来ると喜ぶからな。
さすが精神年齢は同じくらいだ」

全然デートのつもりはなかったらしい。 嫌味ったらしい言い方には慣れていたが、ふふんと得意げな笑いはやはり悪魔っぽい。

「一言一言が余計なお世話なんですよぉ……。
都内の大きな動物園に来るのは初めてだから、ウキウキしちゃう。」

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