【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

「はい、入園券」

「あ、お金払います」

「その位別にいいよ」

「ふぅーん、奢ってくれちゃうんだ? まるでデートみたいですね」

「フン、これのどこがデートなんだか。
それにしても男に奢られて当然と思っているような君がお金払います、とはな」

「ふーんだ。一応建前上お金出しますって言わなくちゃ感じ悪いでしょう?
全部計算ですよ、計算。
こういう気遣いが出来て可愛らしい桃菜ちゃんに皆惚れちゃうんだから」

「自分で言ったら台無しだけどな」

本当は普通にお金を払おうと思っていた。
今までの男性は私に気が合って色々なデートに誘われたものだけど、これはデートではないから。

食事に誘われてもはじめから一切お金を出す気がないとしてもお財布を出すのはマスト。 礼儀作法の一つだろう。

けれど今回碧人さんが動物園に私を連れて来たのは好意があるわけではないから
別に可愛らしい女の子を演じて得な事もないだろうし
そう考えたら気楽なものだ。

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