【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
第三章 恋が動き出す瞬間。
第三章 恋が動き出す瞬間。
自慢ではないが、私は昔からモテる。 中学生の頃から彼氏が途切れた事がほぼない。
何だかんだいって男は定番のふわふわとした女の子らしい子が好きだ。
そして男は褒められるとすぐにその気になって、自分に気があると勘違いする。
今まで甘えた声を出せば男は大抵の我儘を聞いてくれた。 だから碧人さんが私の中では想定外すぎるのだ。
「ねーねー蛯原さんって彼氏いるの~?」
「え~ふふ。彼氏なんていませんよ~」
「でもすっごくモテるでしょ? だって可愛いもんね~」
「そんな事ありませんって~」
周りの視線は全部私のもの。 昔からずっとそうだった。
marinで働きだしてからも、私目当てでこのカフェに通う男性が数名いる事を知っている。 そして現在も仕事中声を掛けられている。
丁寧に対応しているけれど、正直うざったくもある。 今はあんまり恋愛したい気分でもない。