【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
「ねぇどんな男がタイプなの?」
「う~ん、定番ですけど優しい人かなあ?」
「優しい人?俺めっちゃ優しいよ?!」
「あはは~そうなんですか~」
好きな男性のタイプは昔から決まっている。
優しいのはマスト。
その上で高身長、高学歴、高収入。 これでイケメンならば完璧だ。
…だけどこうやって人が仕事中なのに邪魔をしてくる男は論外だ。 さり気なくその場を逃げ出そうとしたが、男の話が止まりそうもない。
その時助け舟を出してくれたのは、marinの社員である瀬能さんだった。
「お客様、失礼致します。 蛯原さん、ちょっといいかな?取引先のお客様から電話が入ってるんだ」
「あ!すいません!いま行きますね」
お客さんにぺこりと頭を下げて小走りで裏のバックヤードへと下がる。
勿論取引先から電話などはない。 瀬能さんが私を助けてくれたわけだ。