【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
梓さんに指摘されて、瀬能さんの顔は真っ赤になってしまった。 …すっごく分かりやすい。
いつもならばからかいたくもなってしまうけれど、そういうのはもう止めたんだ。
だって自分がすっごく好きな人じゃないと付き合っていても空しいだけだし、今までだって心から幸せだと思う恋愛はした事がない。
「もう~~梓さん年下の男の子をからかわないの~!
それに瀬能さんだって周りに若くて可愛い子沢山いるんだから桃菜なんか狙う訳ないでしょう~?
さっさっ、仕事しちゃいましょうね~」
瀬能さんは何か言いたげな表情をしていたけれど、それに気が付かない振りをしてホールを出る。
年下も興味はないし、職場恋愛なんて絶対に嫌。 周囲からどんな噂を立てられるか分かったもんじゃないし
それに爽やかイケメンの瀬能さんはパートのおばちゃん達から碧人さん並に人気がある。 面白おかしく噂されるのは勘弁だ。
ただでさえ、頻繁にmarinに顔を出す碧人さんとあらぬ噂を立てられているのだから
「すいませーん」
「はぁ~い!今行きま~す!」