【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

声を掛けられ営業スマイルで振り返ると、そこには碧人さんと伊織さんが座っていた。
見た瞬間、がっくし。 営業スマイルを返して欲しい気持ちでいっぱいになった。

「何だよ、その明らかに落胆した顔は。
それに何だその甲高いぶりっ子した声は」

今日も碧人さんの毒舌は絶好調。 毎日うんざりしている程見ている顔と嫌味な言葉。 それには慣れっこになってしまったけど

「何しにきたんですかあ~?」

「何しにきたとはなんだ、こっちは客だぞ?」

「何よぉ…。いっつも大した用事もないくせに視察しにきたって桃菜を監視しに来るくせに!
あっ、伊織さんはいらっしゃいませ~」

くるりと伊織さんの方を振り返り笑顔を見せると、「おお」とだけ言って不愛想な表情を見せた。
どいつもこいつも!
まあ、伊織さんにいたっては二重人格な碧人さんとは違い元々普段から愛想がない人だ。

「伊織さん、聞きましたよぉ~。今度真凛ちゃんと新婚旅行に行くんですって~?
真凛ちゃんがすっごく楽しみにしてました!」

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