【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

真凛ちゃんの名前を出した途端、伊織さんのご機嫌はころりと良くなる。 ある意味分かりやすい人でもある。

「まあな、そうか…真凛はすっごく楽しみにしていた…か」

ここまで分かりやすく愛されている真凛ちゃんを、羨ましくも思う。
それに二人はすごくお似合いだ。

「お土産楽しみにしてますね~」

「おお、任せておけ。何でも好きな物をリクエストしてくれ」

「おい、伊織。あんまり桃菜を甘やかすな。
何でも好きな物なんて言うととんでもない物が欲しいと言い出すぞ。
なんていっても強欲な女だからな」

「もぉ~!碧人さんったら失礼すぎるでしょ~? 桃菜の仕事の邪魔しないで!
二人ともいつも通り珈琲でいいんですね?
じゃ、桃菜忙しいから仕事に戻りますからね!」

フンッと顔を背けてその場から立ち去ろうとしたら、碧人さんが制服の首の裾をぎゅっと掴む。
…ちょっと?!物じゃないんだけど?!

< 64 / 258 >

この作品をシェア

pagetop