【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
「一瞬甲高いぶりっ子声に鳥肌が立ってしまったよ」
「嫌味な奴~~~。 つーか何しにきたんですかあ?」
碧人さんがmarinに足を運ぶことは珍しい事ではない。
視察と言う名の私の監視である。
しかしお店が閉まる頃にやって来るのは珍しい。
「いや、別に。 近くで打ち合わせの仕事があったものだから。
たまたまだけど一緒に帰ろうかなあって」
「うわあ、怖あい…。明日雪でも降っちゃうかも。 そういえば外寒いですもんね」
「本当に減らず口だな……。外は大分冷えている。今日は車で来ているから乗って行けばいい」
ツンと尖った碧人さんの鼻先が僅かに赤くなっている。
もしかして本当に一緒に帰ろうとわざわざ来てくれたのかな。
そうだとしたら本当に明日雪が降ってしまうかもしれない。