【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
「珍しい事もあるもんですね。 で~もまだ梓さんもいるし、二人きりで帰ったら怪しまれますよ」
「栗原さんならさっき表であって挨拶をした。 お前と二人で帰って誤解されたら困るから先に帰らせるようにしよう」
「誤解されて困るのは私の方ですって!!
もう少しで本社に送るデーター入力が終わるので、その辺で大人しく待っててくださいよ~」
事務所で碧人さんと二人で話していると、仕事を終えた梓さんがやって来た。
私達の姿を確認すると、いつものようにニヤニヤとしている。やっぱり変な誤解をしているようだ。
「表の掃除終わりましたー。あらあら、今日も小早川さんと蛯原さん仲良しね。
もしかして小早川さん、蛯原さんを迎えにきたとか?」
意外に勘が鋭くて困る。 一緒に暮らしているのがバレたら、それこそ大騒ぎされそうだ。
「あはは、まさか。
ちょっと仕事があったのでついでに寄っただけですよ。
栗原さんもお疲れ様です。」
「梓さん、私もう少しデーター入力ありますから先に帰って大丈夫ですよ」
にこりと彼女の方を見ると、「じゃあお先に」と更衣室へ向かおうとする。 しかし扉の前で足を止めてしまった。
ちらりとこちらを向いた梓さんはニヤリと笑う。