【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
家路までの車内、暫く沈黙が続く。 不機嫌そうな声色を出して碧人さんがやっと口を開いたのは家へ着く目前だった。
「今度瀬能くんと本当に出掛けるのか?」
「はぁー…? 出かけるっていうか誘われたから」
「ハァ……誘われれば誰でもデートの誘いに乗るのか?」
「…何が言いたいのよ?!」
「別に。俺には全く関係ないからどうでもいいからな。」
冷たくそう言い放たれた瞬間小早川家に到着した。
不穏な空気…。
何その言い方。まるで人が誘われれば誰とでもデートするような女みたいな……
「降りて。 車を車庫に入れるから」
「はいはい、ありがとうございましたあー!」
フンッと顔を背けると、思い切り車のドアを叩きつけて降りる。
何、あの言い方。それに態度。 本当に嫌な奴!!!ちょっとでもいいやつだと思ったここ最近の出来事は忘れよう。
やっぱり小早川碧人は悪魔なのだ。