【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

ヒロインもヒロインだけど…ヒーローだってヒーローよ…!
腹黒属性なんか知らんけれど、あれだけ気がある風に見せて肝心な所でヘタレなんだから…。
もどかしい想いを抱えながら、何故かそのヒーローに碧人さんを重ねて見ている自分に気が付いた。

…どうして私碧人さんの事を考えているのだろう。
そう思った瞬間、頭をブンブンと横に振る。

これじゃあ物語のヒロインと一緒だ。まるで碧人さんの事が気になっているみたいじゃないか。 絶対そんな事はありえない!



気になっている理由は碧人さんが好きだとかそういう意味ではない。
気まずくなってしまったあの日以来、何となく碧人さんから無視をされている気がしてならない。

そっちがその気ならばとこちらから折れてあげる必要もない。 私も碧人さんをシカトしていた。 小早川家では私と碧人さんの微妙な変化に皆気が付いていて、気を遣わせている毎日である。

…でも私悪くないもん。絶対にこっちから謝ってなんかあげない。

そういう状況が続いているからこそ、碧人さんの事ばかり考えてしまっているのだ。それ以上の理由なんて…あってはならない。
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