【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

「すっごいいい映画でしたあ~、瀬能さん連れて来てくれてありがとうございますぅ~!」

「蛯原さんめっちゃ泣いてたね。
俺も初めは高校生の恋愛ものって楽しめるかなーって思ったら
すっごく楽しかったよ」

「ですよね~~。じれったい感じがキュンキュンしちゃうんですッ。
あ!私パンフレット買ってきてもいいですか~?」

「いいよ~」

グッズ売り場にしゃがみこんで選んでいる振りをして、館内から出て来る真白達を観察。
館内放送が流れる中、私達より少し遅く真白達がやって来た。

…しかし歩いている二人の間には一人分の空白があって、何だか気まずそうだった。

映画を見ている間も気にして二人を見ていたけれど、真白は冷めた目をして画面を見つめていたっけ…。

グッズ押しのけでちらちらと二人の方へ顔を出すと、瀬能さんが大きく私の名前を呼んだ。

「蛯原さん!」

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