可愛いキミは、僕だけの××
な、なんだったの一体……?
未だに状況が飲み込めずに、ぽかんとする私に戸梶先輩が人当たりの良い笑顔で近寄ってきた。
「のぞみちゃん、だっけ?怖がらせてごめんね、蓮の事許してやってくれる?」
「え、あっ、はい……私の名前はまれ、です」
「あ、そうなんだ。ごめんごめん」
ひえ、同じく人気者の戸梶先輩から話しかけられるとは思わなかった!
しどろもどろになりながら、名前の間違いは訂正しておく。
すぐ隣で荻野先輩が「ふん、ヘタレだな」と軽く笑った。
そのセリフに、戸梶先輩は困ったように笑う。
「そう言ってやるなよ。アイツもアイツで必死なんだって」
「……呆れて物も言えない」
「ははっ、返す言葉もないよ。あーあ、今日からしばらく蓮の機嫌は最悪だな」
俺達も行こうぜ、と靴を履き替え外に出ていく先輩2人をチラッと横目で見た後、瞳さんが荻野先輩に尋ねた。
「えーっと、つまり大和がまた蓮夜くんのことからかったの?」