可愛いキミは、僕だけの××
「ああ、ちょっとな。秋元があまりにも情けなかったから、ついからかってしまった」
うーん……私には、秋元先輩がいきなり突っかかってきたように見えたんだけどな。
「もう、確かに蓮夜くんは本命にはヘタレだけど、あんなに怒らせるなんてやりすぎだよ」
「希ちゃんの前だったからな、プライドを傷付けられたんだろう」
え、どうしてそこで私が出てくるの?
自業自得だ、と荻野先輩が言ってるけどいまいち真相がわからない。
なんの話をしているんだろうね?と私とこはちゃんだけぜんぜん分かっていない。
一方の君島くんは、さすがの頭の回転の速さで話の内容を理解している様子。
へぇ、と顎に手を当てて、意外そうに口に出した。
「あの人、完璧で一切隙がないって印象だったけどちゃんと人間だったんすね」
「秋元はああ見えて、普通の高校生男子だぞ。多分」
「いや普通ではないです。つーか、目の前でこんなおおっぴらに話してるのに、四葉先輩全然気付いてないみたいですよ」
……私!?
君島くんと荻野先輩の会話に自分が出てきて、戸惑うことしかできない。
「道のりは果てしなく遠いな。このままでは何も進展ないまま卒業だ」
「うわぁ、あり得そう」
2人が話してるのをぼんやりと聴きながら、頭の中では秋元先輩のことを考えていた。
……せんぱいは、どうしてあの時私を凝視してたんだろ。
琥珀色の瞳が、ずっと頭から離れない。