可愛いキミは、僕だけの××
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あの日から2週間が経つ。
お昼を食べ終わり、図書室に向かう途中でも頭のほとんどを占めるのは、やっぱり秋元先輩のことだった。
せんぱいとは、あれ以来一度も会っていない。
また、遠くから見るだけの生活に逆戻り。
まぁ、あれは近付く機会があったこと自体が奇跡だったんだけどね。
大体女子生徒にくっ付かれてるとこしか見たことないから、お話ししてみたい。
せんぱいは普段どんな風に授業を受けて、
学校生活を送っているのか。
好きな食べ物、教科、スポーツとか、もっと色々知ってみたい。
……ううん、目が合っただけで、充分だと思わなきゃ。
もう本当に、関わることはないだろう。
ふと窓の外を見ると、荻野先輩と瞳さんが手を繋ぎながら中庭のベンチに座って話をしているのが見えた。
瞳さんが明るく楽しそうに話をしていて、荻野先輩がそれを優しく見守っている。
本当に、お似合いのカップルって感じ。
「………いいなぁ」
私もせんぱいとあんな風になれたら、
と一瞬思いふるふると頭を振った。
絶対にあり得ないよね。
そんなの夢のまた夢だ。
頭を切り替え、図書室の扉を開ける。
おっ、ラッキー!貸切だ!
お目当ての本を探しに、本棚へ向かった。