可愛いキミは、僕だけの××



失礼します、とせんぱいの横を通り過ぎようとした。


それと同時に、私の身体の重力が後ろに傾く。




「え、ちょっ……きゃあっ!?」



気が付けば、ぐいっと腕を引かれカウンターの下に身体を押し込められていた。


背中と耳元に、せんぱいの熱と息遣いを感じて一気に体温が上昇する。



「何するんですか……!」

「静かに」



私が抗議の声を上げたら、せんぱいの大きな手のひらで口元を抑えられた。

あまりにも距離が近いし、状況の飲み込めないのもあり軽く混乱してる。




もしかして、せんぱいは女の先輩から逃げてるの?

だったら私まで隠れなくても良くない!?


ついこの間まで遠い存在だった人がこんなに近くにいるよ。
これって夢じゃない……よね?


ドクン、ドクン



ああ、ドキドキしすぎて心臓が壊れそう。



せんぱいはさっきまで走ってたせいか、
心音がとても速い。




「蓮夜くーん、ここにいるのぉ〜?」



ガラッとドアの開く音がして、せんぱいのぎゅっと抱きしめる力が増した。



「ここにもいないかぁ」



図書室に香水の匂いが充満してきた。

カウンターの目の前まで足音が聞こえた瞬間、ぎゅううう、と抱き潰されそうなほど彼に包み込まれる。


く、苦しい!力強い!!


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