可愛いキミは、僕だけの××
「君が傷付くだけだ」
せんぱいは捲したてるように言った。
……その言い方からすると、私が荻野先輩を好きだと思われてるのかな。
なぜか誤解してるらしい。
もちろん私は、荻野先輩に恋愛感情を抱いたことはないよ。
私が荻野先輩と出会ったのは、喫茶店でバイトしている瞳さんを迎えに来た時に話したのがきっかけ。
せんぱいの言う通り、荻野先輩はモテモテだけど瞳さん一途だ。
2人は正真正銘ラブラブだし、お姉ちゃんみたいに思ってる瞳さんを悲しませるような事はしない。
それに私が好きなのは、あなたです。
そう伝えたいけど、できないのがもどかしい。
せんぱいとは住む世界が違うし、
美人な彼女だっているのは分かってる。
私の永遠の片思い。
そういえば、せんぱいはなんで自分の彼女から隠れているんだろうね。
ぎゅっ、と再び腕に力がこもる。
わ、忘れてた。今、抱きしめられているんだ!
「せ、先輩!そろそろ離して下さい!」
「俺の質問に答えて」
「そ、それよりこの体勢を……」
「答えて」
な、なんなの本当に!?
答えるまで離す気はないようで、困惑する私。