可愛いキミは、僕だけの××
とりあえず、離してもらうためには質問に答えなければいけないのか。
「荻野先輩に恋愛感情は一切ありません」
正直に答えるとせんぱいは、「じゃあ、さっき荻野達を見て羨ましそうにしてたのは?」と面白くなさそうな顔をしている。
あ、あれ見られてたんだ?
「それは、純粋に彼氏と仲疎さそうにしてるのが羨ましいって意味で、瞳さんに嫉妬してたわけじゃないんです」
「………本当に?」
「ほ、本当です!……だから、もう離してください」
顔が真っ赤であろう私の口からは、消え入りそうな細い声しか出ない。
ずっと抱きしめられているから、某アニメ主題歌風に言えば思考回路がショート寸前だ。
冗談じゃなく本気で、今すぐにでもぶっ倒れそう。
必死にお願いした結果、ようやく身体が解放された。
し、死ぬかと思った!!早く戻ろう!
きっと顔が真っ赤なのはバレバレなんだろうな。
今度こそ失礼します!と扉付のドアノブに手をかけた。
すると、その手を一回り大きい手が覆う。
再び、背中に熱を感じる。