可愛いキミは、僕だけの××



「希ちゃんお待たせ!戻ろうか!」

「あ、はい!」


「私たち向こうで見てるので、みなさん頑張ってください!ほら、おねーちゃんも!」


可愛らしい笑顔でエールを贈ったこはちゃんに後押しされて、一歩前へと踏み出す。


「みっ、みなさん、頑張ってください……」


私声ちっさいし、変に裏返ってるじゃん。

頑張ってって一言言うだけで、どれだけ緊張してるのよ。


「おー、サンキュー」

「かわいい子から応援されたらやるっきゃないよな!」


城間先輩と戸梶先輩が人当たりの良い笑顔を返してくれた。


それに対して、秋元先輩は少し離れた所でこっちをじっと見ている。



「それじゃあ、行こっか」

「あ、ちょっと待って下さい」


一番応援したい人に、もう一度ちゃんと言いたい。


そう思って、秋元先輩の所へ駆け寄った。


私が近づくとは思っていなかったらしく、少し驚いた顔をしたせんぱいに明るく努めて笑って見せる。



「……観客席から見てるのでがんばってください、せんぱい!」


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