可愛いキミは、僕だけの××
いつかきちんとお礼を言いたい、って思ってはいるけど先輩はモテモテの人気者だから常に周りには人がいる。
特に、派手めな女の先輩が怖くて近づけないんだよね。
去年、同じクラスだった女の子が勇気を出して秋元先輩に話しかけようとしたらしいの。
その前に女の先輩が鋭く睨みつけてきて、なにかされたら怖いから泣く泣く諦めたって話を聞いて「ひえっ……」と思わず声が出ちゃった。
それと、先輩は女好きでも有名だ。
先輩と仲のいい、城間先輩と戸梶先輩は毎回違う女の人を連れている。
秋元先輩だって、この間見た人とは違うタイプの人が腕にくっ付いていた。
まぁ、あの人が私のことを覚えてるわけないし、きっと話すことはもう2度とないんだろう。
半ば諦めの気持ちで、遠くから見るだけだ。
女の先輩と一緒にいるところを見たくなくて、視線を逸らし体育館へ向かった。
……私の背中を見つめる視線には気付かずに。