可愛いキミは、僕だけの××
あんな風に笑っているとこ、初めて見た。
……それも、私に対して。
ふふ、嬉しさで頬が緩んでしまう。
ニヤけた顔を隠すように俯く。
冷静を装いながらも、頭の中は浮かれまくりのカーニバル状態だった。
始業式が終わったら、後はSHRを済ませて午前中で学校は終わり。
絹ちゃんは午後から部活あるから、
1人で帰ろう。
「あ、希ちゃーん!」
下駄箱でせんぱいとそのお友達、
戸梶先輩の3人にばったり出くわす。
戸梶先輩が笑顔で軽く手を振り、
私の名前を呼んだ。
すると、彼らの周りにいた女の先輩数人に「は?誰よこの女は!?」というような鋭い目つきで睨まれた。
ひえっ!!
思わず、蛇に睨まれたカエルみたいに縮こまる。
話しかけられるのは嫌じゃないしむしろ嬉しいんだけど、正直人前ではやめて欲しいかも。
女子の嫉妬って、本当に怖いんだよ。
特に異性とか恋愛絡みはね。
気にしていたらせんぱいと進展できないのは分かってる。
けど、平穏な学校生活も送りたい!
だから、挨拶を返して足早に立ち去ろうとしたらのに、ちょいちょい、と戸梶先輩に腕を掴まれた。