可愛いキミは、僕だけの××
「相変わらずすぐ逃げようとするね。傷付くなぁ」
「いや、逃げようとしたわけじゃないです」
「いやいや、そそくさと帰ろうとして……」
「四葉さん、さっきは蓮がごめんね」
戸梶先輩の言葉を遮り、優しそうな男の先輩が私に声を掛ける。
名前は確か、 堀内将輝先輩。
周りからマサって呼ばれていて、
滅多に怒らなさそうな、温厚な印象。
この人は秋元せんぱいと1番仲がいいのか、一緒にいることが多い。
マサ辛辣〜〜!と戸梶先輩が茶化したけど、シカトしていた。
「い、いえ!
あの、さっきなんで笑ってたんですか?」
「あれね。あまりにも百面相になる四葉さんが面白かったんだって。なぁ、蓮?」
「百面相って……」
怒っていたわけではなさそうだけど、あまり嬉しくない理由で見られていたようで。
むすっと若干不機嫌な顔をすると、せんぱいが私の膨らんでいる頬を人差し指で押した。
私の口の中の空気が抜け、そのまま人差し指と親指で頬を摘まれる。