嘘カノでも幸せになれますか
お昼休みになると、咲希は私の手を引いて2年生のフロアに連れてきた。
「さあ、柚葉。1組から覗いていくよ。早く見つけないと!」
私は恐る恐る2年1組の教室を後ろのドアから覗く。
うわ、皆同じ顔に見えるし。
なんか皆がこっちを見ているような気がして居心地悪い。
ここから一刻も早く立ち去りたい。
あの先輩のことを探さなきゃいけないのに、一人一人の顔が見れないよ。
すると私の後ろにいる咲希に誰かが声を掛けてきた。
「何? 咲希ちゃんじゃん。誰かに用事? 呼んであげよっか?」
「あっ、一輝(カズキ)先輩! こんにちは」
「咲希ちゃんが俺のクラスに来るって、珍しいね。この子は?」
咲希が一輝先輩と呼んだ人が私のことを見て、紹介を促している。
「この子は友達の本多柚葉です。この子が人探しをしていて」
私は咲希が紹介してくれたので、目の前の一輝先輩に挨拶をした。
「本田柚葉です。はじめまして・・・。 あの・・・」
そこまで話して私は一歩後ろに下がった。
やっぱり私は男の人と話をするのが苦手だ。
それに、この一輝先輩はとても背が高くて体格もいいから上から押し潰されそうな気がしちゃう。