嘘カノでも幸せになれますか

外にはカップルが何組か来ていて、私たちのことは全然気にせず二人の世界に入っていることがホッとする。

私はお弁当箱を膝の上に置いて、ダンを見る。

ダンはコンビニのおにぎりとメロンパンを手に持っていて、ペットボトルのお茶を飲んでいた。

「ダンのお昼はいつもそんな感じなの?」

「まぁ、そうだな。コンビニで買うか、学校の購買が多いな。ユズは毎日弁当作ってるのか?」

「う、うん。お母さんが作ってくれるの」

「へぇ。俺も手作りのお弁当が食いたいな」

ダンが私のお弁当箱をジッと見ているから、

「ふふっ、おかずおすそ分けしてあげるから、そんなに見ないでよ」

「マジで、いいの? やった!」

なんだかダンが可愛い。

子供みたいにワクワクしている。

今日はダンにおすそ分けできるおかずあったかな。

私はお弁当の蓋を半分開けたところで思い切り蓋を閉めた。

ヤバイ。

今日の卵焼き!!! 

すっかり忘れていたけど私の失敗したスクランブルエッグ風の卵焼きを入れてきたんだった。

これはダンに見せられない。
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