嘘カノでも幸せになれますか
「じゃ、唯花ちゃんと一輝先輩。私は帰りますね。さよなら」
「ちょっと、待ってよ柚葉ちゃん。練習観て行かないの? 俺、柚葉ちゃんが応援してくれてたら頑張れるんだけど」
はい? 一輝先輩は何を言っているの? 変なこと言わないで欲しい。
一輝先輩の発言を聞いた唯花ちゃんの顔から血の気が引いていくのが分かる。
「か、一輝先輩! 何を言っているんですか。私は帰ります」
それまで無言だった唯花ちゃんが初めて一輝先輩の前で口を開いた。
「一輝さんは、もしかして本多さんのこと、す・・・」
鈍感な私でも唯花ちゃんの言いたいことは分かるよ。
でも、それは見当違いの質問だよ。
一輝先輩が私のことを好きだなんて、ありえないもん。