嘘カノでも幸せになれますか

「なぁ、一輝。今ユズが言ったことは本当だから。俺たち付き合ってんの。だから邪魔すんな」

「ダン、別に一輝先輩は邪魔するとか、そんなんじゃないよ」

「じゃあ、なんでユズがここにいるんだよ。一輝に呼ばれたんだろ?」

「えっと、それは違うの。私が勝手に来たって言うか」

この場で唯花ちゃんに強引に連れてこられましたなんて言えない。

「はぁ? ユズ、何言ってんだよ。なんでユズから一輝に会いに来てんだよ」

私は唯花ちゃんに目で助けを求めたのに、

「良く分かりました。一輝さんも暖さんも本多さんのことが好きなんですよね? 一輝さんの気持ちを知ってて私に一輝さんを紹介するなんて、本多さん酷いよ」

そう言うと唯花ちゃんは駆け出した。

「待って、唯花ちゃん!」

私が引き留めても振り返ることもせず、唯花ちゃんは体育館を出ていってしまった。

唯花ちゃん、誤解だよ。どうして私が悪者になるの?
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