嘘カノでも幸せになれますか

唯花ちゃんの態度にとても不安を覚えて、私は何も悪いことをしていないのに、涙が出てきた。

唯花ちゃんがいなくなって、ここに残されたのは3人。


「なあ、今の子はなんだ、ユズ。何かユズが酷いことしたのか?」


ダンがハグをしたまま背中越しに聞いてくる。

「誤解だもん。私、何もしてないもん。どうしてこんな風になっちゃうの? ふぇっ」

涙をこらえ切れなくなって嗚咽交じりになってしまった声を聞いたダンが私の両肩に手を置くと、私の身体を反転させてダンと向き合う格好にした。

そのまま今度はダンに正面からギュッと抱きしめられて、

「ユズ、泣くな。ユズは何も悪くないんだろ? だったら泣くな」

そんな私たちを見ていた一輝先輩が

「なあ、お前らさ。本気で付き合ってんのか? 柚葉ちゃん、そうなのか?」

一輝先輩は私たちが嘘で付き合っていることを見抜いているかのように質問してくる。
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