嘘カノでも幸せになれますか
一輝先輩が居なくなり、ダンと2人きりになるとダンが私から離れて少し屈むようにして私と目線の高さを合わせる。
「ユズ」
「はい」
名前を呼ばれて、返事はできてもダンの方に顔を向けられない。
「ユズ、こっち向いて」
「無理」
「無理じゃないだろ。俺を見ろ」
少し語気の強い言い方をされてびくっとなった。
「待ってても来ないし、携帯に掛けたら後ろで一輝の声が聞こえるし、来てみたらユズが俺と付き合ってるって堂々と宣言してるし、そんなことをユズが言うなんて逆に心配するだろ」
「ごめんなさい・・・」
「大体な、ユズが一輝と一緒にいるのが一番気に入らないんだよ」
「どうして?」
「なっ、なんとなく。だよ。バカユズ」
「ひどっ! 私にまでバカをつける~」
「で、何があったのか俺に話せるよな?」
「うん。でも唯花ちゃんの名誉のためにも秘密にしておいてくれる?」
「唯花? ああ、さっきの女か。ユズはキャパオーバーしてるだろ。一人で抱えきれなさそうだから、話してみな」