嘘カノでも幸せになれますか

「あのね、昨日咲希から一輝先輩を紹介されたのね。それを唯花ちゃんが見ていて、今度は私に唯花ちゃんを一輝先輩に紹介して欲しいって頼まれてね。無理だって言いたかったんだけど、どうしても言えなくて」

「ユズ、断るべきところはちゃんと言わないと良い方には向かないぞ。断るのだって優しさなんだからな。ユズはもっと意見を言えるようにならないと」

「分かってるの。こんな性格は嫌いなの。でもね、なかなか言えなくて。相手を傷つけちゃうんじゃないかなって思ってしまうの」

「違うな、ユズ。ユズは自分を守っているだけだろ。相手の気持ちより、自分に嫌な矛先が向かないようにしているだけなんじゃないのか?」


ダンの言葉が胸に刺さった。痛い。

きっとそうなんだ、私はずるかったんだ。

いつも誰にでも波風を立てないように、言いたいことを言わず、逃げていた。

そんな私が一番迷惑を掛けているのは咲希。

いつも咲希に嫌な役割をさせてしまっている。最近は特に酷いよね。

いつも助けてくれる咲希に甘えてばっかりで。
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