嘘カノでも幸せになれますか

それまで下を向いて話していた顔を上げてダンの目を真っ直ぐ見る。

「ダン、気付かせてくれてありがとう」

ダンが俺を見ろって言ったくせに、私がダンの目を見ると、ダンが私から目を逸らした。

「だからさ、それずるいんだって」

またずるいって訳わからないことを呟いて横を向いてしまうダン。

そんなのは今の私にはどうでも良くて。


「私、咲希に謝ってくる」


バスケ部が練習しているコートまで走って、咲希を探す。

丁度コートの脇で汗を拭いている咲希がいたからバスケットコートをぐるっと回って、

「咲希―――!!」

咲希の名前を叫んで、咲希に抱き着いた。
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