嘘カノでも幸せになれますか

私はそう心の中で呟いたと思っていたのに、声に出してしまっていたみたい。

私の悪い癖。


「柚葉ちゃん、何が本当の彼女じゃないの？」

やばっ、一輝先輩に聞かれちゃった。

「えっと、私そんなこと言いました？言ってないですよね」

「言ったよ。ちゃんと聞こえた。もしかして柚葉ちゃんと暖ってさ・・・」

「なっ、なんでもないです。間違えました。違うんです」

言い訳すると余計にボロが出そうだから、

「一輝先輩、本当にありがとうございました。私も教室へ行かなきゃ。じゃ、さよなら」

「ちょっ、柚葉ちゃん！」

一輝先輩に呼び止められたけど、そのまま振り返らずに教室まで走った。

どうしよう。一輝先輩に聞かれてしまったよ。

私が本当の彼女じゃないって・・・。