嘘カノでも幸せになれますか

ダン、お願いだから教室にいて。

あんなに上級生のフロアに行くのが怖かったのに、今はそれどころじゃない。

早くダンに知らせなきゃ。

2組の扉からダンの姿を探すけど、ダンがいない。

ダン、どこに行ったの? 

私は誰かに話を聞かれないように昇降口まで降りてからダンのスマホに電話を掛けた。


『ユズ? 何、どうした?』


ダンは2コール目で携帯に出てくれて、話し声はいつも通りの優しいダンに戻っていたからホッとした。


「ダン、あのね。大変なことを思い出したの。会って話したいんだけど、今どこにいるの?」

『あー、今? ユズには会えないかな。残念だけど、俺より一輝の方が好きなユズには会いたくないなー』
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