嘘カノでも幸せになれますか
ここは昨日ダンと一緒にお弁当を食べた場所。
「で、話したいことって、一輝のことか?」
「わ、凄いねダン。そうなの一輝先輩のことなんだけどね」
「一輝のこと、好きになった?」
「へ? 一輝先輩のこと? それはさっき電話で話したでしょ。そんな話じゃないよ」
「じゃ、嘘の彼女ってのを聞かれたことか?」
「・・・、知ってたの?」
「ああ。さっき一輝に呼び出されて問い詰められた」
「ごめんなさい。私の悪い癖でね、心で思っていることを口にしてしまったの」
「ははっ、確かにユズは思ってることを声に出して言ってるよな」
「本当にごめんなさい。それで、ダンは一輝先輩になんて答えたの?」
「正直に言ったよ。そこまで知られて嘘をつき通すなんてできないからな」
「あの。それで、一輝先輩の反応は?」
「んー。それ言わなきゃダメか?」
「うん、ちゃんと知っておきたい」
「ユズが俺の彼女じゃなかったって喜んでたよ」
「どうして喜ぶんだろ?」
「一輝がな、ユズが男に免疫ついたらちゃんとユズを開放しろってさ」
「そんなこと、当たり前だよね。ダンだって私がずっと側にいたら迷惑だもんね。でもこれで咲希と一輝先輩の前では演技しなくていいってことだよね」