嘘カノでも幸せになれますか
「でっ、でもまだ知らない人は怖いよ。まだきっと免疫なんてついてないよ、私」
「あっははは! ユズはやっぱり面白いな。俺もまだユズには男への免疫ついて欲しくないわ」
ダンは笑いながら私の望んでいることを言ってくれた。
まだダンと一緒にいてもいいんだ。
そうだ、バンドメンバーにはどう説明するのかな。
「ねぇダン、MGRのメンバーには私たちのこと、どう説明するの?」
「メンバーには嘘つかなくてもいいだろ。俺とユズは学校の先輩後輩の関係。それ以上でも以下でもない。嘘で付き合ってるなんて言わないよ」
さっきまでは私のことを受け入れてくれたように思えたのに、急にただの先輩後輩なんて言われて、ダンに突き放された。
そう、これが本当の私たちの関係。
分かってるよ、そのくらい。
スタジオに入る時、ダンが私の手をそっと離した。
胸が締め付けられるように痛かった。