嘘カノでも幸せになれますか
宮野 暖(ミヤノ ダン)・・・ そんな名前なんだ。あの優しい先輩。
私は授業のノートを取っているふりをしてノートの端に『宮野暖』と小さな字で先輩の名前を書いてみる。
字を書きながら小さな声で先輩の名前を言っていたらしく、それを隣の席の咲希に聞かれてしまった。
咲希はニヤニヤして、とても楽しそうに私を見て笑っていた。
「こっ、これは違うの! なんでもないの」
授業中にもかかわらず私は咲希に向かって大声を出してしまったからクラスから注目されてしまって。
先生からも、
「本多―、なんだ? この問題を解きたいのか? じゃあ黒板に答えを書きにこーい」
黒板に問題なんてなにも書いていないのにそう先生に言われて、クラス中に笑われてしまった。
「もぅ・・・ 恥ずかしい」