嘘カノでも幸せになれますか

「ちょっ、ちょっと待てよ。ユズ。ハルも。ねぇ、なにハグしてんだよ」

ダンが私とたっくんの体を引き離そうとしている。

「ダン、ちょっと待って。今、柚葉と感動の再会をしているの。邪魔しないで」

「たっくん、もう分かったから。ハグおしまい。ね、離して」

ダンにハグを見られているのが恥ずかしくなって、たっくんに離れるようにお願いした。

「柚葉、なんでバンドなんてやってるの? ねぇ、柚葉をここに連れてきたの、誰?」

「ダンに誘ってもらったんだよ」

ダンが返事をする代わりに私が答えた。

「ダンなの? ダン、何してくれちゃってるの。だめだよ、柚葉。ライブまで出るって聞いたよ。俺さ、てっきり俺の助っ人は男だと思ってたから何も言わなかったけど。柚葉はだめだよ」
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