嘘カノでも幸せになれますか

たっくんと二人で盛り上がっていると、急にギターを掻き鳴らす大きな音がスタジオに響いた。

「きゃっ」

私は大きな音にびっくりして、叫んでしまった。

「ダン、うるさいよ。柚葉がびっくりしただろ。気を付けろよな」

たっくんがダンに注意してくれる。

「ああ、なんかイライラすんな。俺、ちょっと外の空気吸ってくるわ」

そう言ってダンがスタジオを出て行ってしまった。

タクさんとアヤさんが顔を見合わせてため息をついている。

ダン、どうしたんだろう。何をそんなにイライラしているの?

「ハルとユズは幼馴染なの?」

アヤさんに質問されて、

「はい。私がたっくんのお母さんに小さい頃からピアノを教えてもらっていて、ずっと一緒にピアノしてたんですよ」

「ああ、だからハルの音とユズの音が似てるんだ。納得した」

カイトさんは前にハルと私のキーボードの音が似ているって言っていたもんね。凄いね、カイトさん。さすがバンドマンだ。
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