嘘カノでも幸せになれますか
「ユズ!」
ダンは私の名前を呼んで、急に私のことを抱きしめてきた。
「へっ? ダン?」
「なぁ、ハルとなんでハグなんかすんだよ。なんでユズがハルに腕を回すんだよ。そんな慣れたようなこと、なんでするんだよ」
「ちょっ、ダン。どうしたの? 苦しいよ、離して」
ダンの腕の力が強くて、息ができないくらいにダンに強く抱きしめられている。
「ユズが他の奴と仲良くしているの、ムカつくんだよ」
「どうしてダンがムカつくの? たっくんとは小さい時からずっと一緒でね、家族みたいなものなの。ハグだっていつもの挨拶だし」
たっくんとのハグと、こうしてダンに抱きしめられているのでは全然違うの。ダンにどう説明したらいいの?
それに、ダンがまたやきもちを妬いているような言動をする。
私、勘違いしてしまうよ、ダン。