嘘カノでも幸せになれますか

ダンから逃げるように離れて、スタジオに入る。

でもこんな泣きそうな顔をしていたんじゃスタジオに入れないよ。

私はスタジオに入る外の扉と内側の扉の間に入り、堪えきれなくなってしゃがんで泣いた。

「苦しいよ、ダン。私・・・私・・・ふぇっ」

そんな私のことをたっくんが真っ先に気付いてくれて、私の所へ来てくれた。

「どうしたの、柚葉? なに、泣いてるの? 柚葉?」

たっくんが私と同じようにしゃがんでくれて、優しく頭を撫でてくれる。

「ふぇっ、たっくーん。うわーーん」

私はたっくんに抱き着いて泣いた。

声を抑えることができないくらい嗚咽していた。

「ねぇ柚葉。 何があった? もしかしてダンか? 柚葉」

「ふぇっ・・・たっく、ん。私、私ね。もうダメかもぉ」

正座して座り込んだ私の隣に体育座りしたたっくんが体をくっつけて寄り添ってくれる。
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