嘘カノでも幸せになれますか
「ユズ。ハルとは幼馴染なんだよな。それ以上の関係はないのか?」
「たっくん? 何もないよ、小さい頃からのお友達だよ」
「ハルはユズと結婚するって言ってただろ。それを聞いて、ユズはどう思った」
「あれは、たっくんが幼い頃の約束を持ち出しただけだよ。私とたっくんは兄弟のように育ったの。たっくんに恋愛感情は持てないと思う」
「でも、何の迷いもなくハグしてただろ」
「だってあれは、昔からそうだったから。バイバイする時はいつもハグしてたんだもん。お母さんにするのと一緒の感覚だもん」
「男に免疫がないって言ってたくせに」
「それは、知らない人には緊張するよ。ダンにだって緊張する」
「まだ俺にも緊張すんの?」
「するよ。たっくんとハグするのと、ダンとハグするのは全然違うの。ダンにされると、緊張するの」
「ははっ、そうか。俺に緊張してんだ。なあ、ユズ。いつになったら俺に慣れてくれんの?」
「慣れるとか、分からないよ。それでも私の中ではダンが一番近くにいてくれる男の人だから。こんな風にお話しできるのも、一緒に歩くのもダンだけだから」
「それは、どうも」