嘘カノでも幸せになれますか

「何もないって。私がMGRの活動を辞めたら、もうダンとは接点がないもん。学校でも会わないし」

「柚葉ぁ、あの日スタジオで大泣きしてたのはダンのことでだよねー。一体さ、ダンと柚葉はどっちがどっちを好きなんだよ?」

「どっちでもないよ、どっちもお互い好きじゃないよ」

「柚葉はなんでそんな風に一生懸命自分に否定的に言い聞かせてるの。俺から見たら両想いに見えるんだけどな。柚葉がこじらせてるんじゃないのか? ダンはストレートに柚葉のこと好きだろ」

「そっ、そんなこと・・・。ないもん」

「ま、いいけどさ。変にこじらせて後悔するなよ、柚葉」


こじらせるとか、そんなんじゃなくて、私に勇気がないだけなんだよね。

分かってるの。

「そうだ、柚葉。来月のコンクールさ、俺が花束用意するね。柚葉は優勝しろよ。俺もたまには舞台上で花束を渡したいよ」

「うん、ありがとうたっくん。控室じゃなくて舞台でお花を貰えるように頑張るね」

このあと、久しぶりにたっくんと先生と三人でピアノを弾いて、二人から沢山アドバイスをもらったから、コンクールで良い成績が取れるような気がするよ。


たっくん、私頑張るね。
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