嘘カノでも幸せになれますか
最近になってやっと電車を降りた朝の改札口でダンの姿を探すことも無くなって、一人で学校へ行くのも普通になってきた。
ピアノの楽譜を思い描き曲を口ずさみながら歩いていたら、後ろから誰かに声を掛けられた
「ねぇ」
振り向いてみると、先輩かな? 女の人二人が私の後ろから歩いて来ていたみたいで、その人たちに呼び止められた。
「はい」
私は立ち止まり、声を掛けてきた先輩たちに返事をする。
「あなた、暖と付き合ってるって子よね?」
それは一か月くらい前の話ですけど・・・。
「えっと、付き合っていませんけど」
「はぁ? あんなに堂々と暖と一緒にいたくせに嘘つくわけ?」
もしかしてこの人、前に昇降口でダンに告白していた先輩?
「あの、私、本当に付き合っていません」
「最近は暖と一緒じゃないみたいだけど、前は毎朝一緒に登校してたし、帰りだって一緒に帰ってるわよね。なのにそんな嘘をついて、私たちをバカにしてるの?」
「バカになんてしていません。本当に暖先輩とはお付き合いしていません」