嘘カノでも幸せになれますか
「柚葉ちゃん、二年の女たちに何かされたのか?」
「ううん、何もないですよ。全然なにも・・・」
「話したくないならいいんだけどな。それでも暖には話すんだぞ」
そっか、一輝先輩は私と暖のこと知らないんだ。暖が話していないんだ。
「あの、一輝先輩。私とダンなんですけど・・・。もう嘘でお付き合いするのやめたんです。もうダンとは何も無いんです」
「はぁ?! なんだそれ! はぁぁ?」
一輝先輩の驚き方に私の方がびっくりしちゃう。
「あの、そう言うことです。今まで私たちの嘘に付き合ってくれてありがとうございました」
「どうしたんだよ、この前まで仲良しカップルだったろ。もしかして、柚葉ちゃんが男に免疫ついて、来るもの拒まずになったとか?」
「やだ、やめてくださいよ、その言い方! 全然違います。私、ダンのバンド辞めたんです。ライブも出なくなったから、免疫付かなくても良くなったといいますか」
「そっか。それで暖が柚葉ちゃんを開放したってことか。柚葉ちゃんはそれで良かったのか?」
「いいも悪いもないですよ。最初からダンとはそう決めてましたから」
「ふーん」
一輝先輩は口に手を当てて何かを考えている。