嘘カノでも幸せになれますか
「一輝先輩。もう大丈夫です。授業に出てください。私も次の授業から出席しますから」
「うん、分かった。じゃあさ、柚葉ちゃんがフリーになったんなら俺と付き合ってみない?」
一輝先輩は全然私の話を聞いていないよね。
「どうしてそうなるんですか。私、誰ともお付き合いしません」
「えっ? 俺だよ。付き合う相手は俺だよ? マジ柚葉ちゃんのこと大切にするし」
「一輝先輩は私のこと好きでも何でもないじゃないですか」
「じゃあ、今ここで俺が柚葉ちゃんのことを好きだって言ったら考えてくれるの?」
「えっと、それは・・・。だってそんなこと。一輝先輩が私のことを?」
「柚葉ちゃん、俺ね、一番最初に柚葉ちゃんを見た時に可愛い子だなって思ったんだ。それで咲希ちゃんに無理言ってバスケの練習を見に来てもらった」
「あの時・・・。そうだったんですか。全然そんな感じしませんでした」
「そっか。俺はあれでも積極的にアピールしてたんだけどな」
「ごめんなさい、分かりませんでした。でも、そう言ってくれてありがとうございます」
「そしたら急に暖と付き合うって聞いて。俺、ショックだったー。暖だけは無いわって思ってさ」
「どうしてダンだけは?」
「だってどう見ても暖より俺の方がかっこいいし。暖に負けるなんて絶対嫌だしな」