嘘カノでも幸せになれますか
第19話 解けた誤解

ふと保健室に一人ぼっちなことに気付くと、急に淋しさが襲ってきた。

私も落ち着いてきたし、教室に行こうかな。

そう思って丸椅子から立ち上がった時、保健室のドアが勢いよく開いた。

「一輝先輩、忘れ物ですか?」

私はてっきり一輝先輩が戻ってきたのかと思って保健室に入って来た人の顔を見ずに声を掛けたら、


「ユズ! 大丈夫か! 怪我酷いのか?」


この声は、


「ダン?!」


「立ち上がってて大丈夫なのか? 寝てなくていいのか?」

「えっと、ダン。どうしてここに?」

「話はできるんだな、良かったー。心配させんなよ、ユズ」


ダンは私の目の前まで来ると、両腕を広げて抱きしめる仕草をしたけど、その腕をすぐに引っ込めた。

一か月ぶりに見るダン。一か月ぶりに聞くダンの優しい声。

何も変わっていないんだなって感じる。
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